大澤弁護士の法律相談室

法律相談室 大澤弁護士

Q:心の痛手が怖く裁判員断りたい(2009年4月16日掲載)
裁判員制度が始まります。選ばれると法廷で殺人事件などの立証に立会い、生々しい状況の細部まで知らされるのですね。大型スクリーンに映し出されたもの、傍らの遺族…私にはとても耐えられません。精神的ダメージを引きずり後々の生活にも支障が及びそうです。辞退できますか。 (戸塚区 匿名希望)

A:質問の趣旨は先日の星島被告による女性殺害事件を念頭に置いていらっしゃるようですが、あのような事件は日本の犯罪史上でも例外的な事件です。そのようなまれなケースを元に、裁判員制度に尻込みされるのはいかがなものかと思います。
 裁判員制度は、立法、行政における選挙権、被選挙権と同様に、国民の直接参加による裁判権の行使という参政権の拡充の側面を持っています。封建国家や、専制国家においては支配者が独占していた権力で、民主国家の成立とともに国民が闘いとってきた権利の一部と言ってよいのです。これまで参加が認められなかった方が民主国家としては異常で、ちょうど選挙権や被選挙権がないのと同様な状態であったと言ってよいでしょう。
 裁判員の候補に選ばれて、具体的事件の裁判員になるには、50人ほどの候補者の中から更に選考のうえ6人選ばれることになっています。法律家であるとか、特定の公務員の地位にあるなどの一定の人は参加できませんし、70歳以上であるとか、やむを得ない事情で辞退が認められる場合以外は、嫌だから、気持ちが悪いからでは辞退の理由にはなりません。むしろめったにない機会に恵まれたと考え、勇気をもって参加されることをお勧めします。人間や社会の仕組みなどについて学習し得られるものは、深く多大であると思います。